夜と闇


表現するには
足りなすぎる
伝えるには
複雑すぎる


例えば此処で大声で叫んだとしよう
事細かに説明しようと叫んだとしよう


恐らく出るのは
悲鳴だけだろう


夜の闇に咆哮を上げて
その声を誰かが聞き取ったとして
誰がその真意を知り得るだろうか





理解と同意は生温く
否定と批判は鋭利過ぎて
安定をもたらす言葉はまだ
何処かに転がっているかもしれないけれど
探しに行く気力もない



不器用な叫び声を包み隠す闇も
静かに去って
朝が来る



「皮肉におはよう」



Sに捧ぐ。