SMだとかそうでないとか


思い切り平手で叩かれてうめきながら半分笑っていたらそりゃまともじゃない。
「笑ってるぜ、おかしい」とかいいながら、冷静になって聞いてみると私は異常でなく、残念ながら正常だ、という。
単におかしくなりたがっているだけだ、とも。
確かに、と頷いた。

挙動が異常でも頭が正常という意味なのか、予想できる範疇だから普通だと言いたいのか、私は聞けなかったけれど、まさかあれだけ冷笑したくせに正常だというなんて思わなかった。

人が望めば演技して、それが演技でなくなる人だ。
私のために変わってくれたのかもしれないしそうでないかもしれない。

ぐっと首にかけた手に力をこめられて、苦しさに驚いてかすかに漏れた声に対して
「可愛い」と声を上げて笑ったのは、一体何に対してだったのだろう。
私の愚かさか、本能の感覚か、それとも。


もっと苦しめて嘲笑すればいい。
自意識の強い私を、君なら壊せるかもしれない。殺せるかもしれない。


欲しいのはぎりぎりに追い詰められたときの恐怖と期待。
手首を切るくらいなら、体中に痣。

蔑むんじゃなくて、哀れんで。
哀れむんじゃなくて、愛して。
甘やかすくらいなら愛さないで。
虐めることによって可愛がって。